カードローンのQ&A

偽名や名義貸しでカードローンを申し込むのは絶対にダメ!判例あり

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偽名の使用や名義貸し目的でカードローンを申し込むと罪になるの?判例は?

<はじめに>

カードローンはカード1枚でお金を借りられる、とても便利サービスです。けれども、残念ながら悪用する人も少なからずいるのが実情です。

例えば「本名では審査に通らないから偽名で申し込む」、あるいは「報酬につられて名義を貸してしまう」などです。

これらは犯罪行為であり、金融機関に対する契約違反です。目先の欲に眩んだ結果、どのような目に遭って、どのような罪に問われるのか、詳しく見ていきましょう。

1.偽名でカードローンを利用して捕まった警察官の話

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2015年に大阪で、40代の現職警察官が偽名カードローン利用して逮捕されました。

投資の失敗による借金の返済に困っての犯行で、3つの金融機関から1,500万円を引き出していたのです。

本人確認には名前や住所を偽装した勤務先の保険証を使っていました。当然、どんな名前の人物が働いているのか詳しいので、在籍確認も容易にすり抜けてしまったのでしょう。

この警察官が問われた罪は以下の4つです。

・有印私文書偽造(刑法第159条、5年以下の懲役)
・有印私文書偽造同行使(刑法第161条、5年以下の懲役)
・詐欺(刑法第246条、10年以下の懲役)
・窃盗(刑法第235条、10年以下の懲役)

「有印私文書偽造」は保険証の偽造に対するもので、これを実際に使っているので「有印私文書偽造同行使」も問われています。

金融機関をしてお金を借りているので「詐欺」になり、返済もされていなければ「窃盗」になります。

複数の罪に問われた場合、懲役は1.5になるので、この警察官は最大で15年の懲役が科せられます。

けれども、実際の裁判では過去の判例や犯罪の状況によって、これより罪が軽くなるケースがほとんどです。

例えば2005年に同様の罪を犯した別の被告人には懲役3年、執行猶予5年の判決が出ています。

2.名義貸しで返済義務が生じても加害者になる理由

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「名義貸し」とは、第三者と取引する他人に自分名義行為です。ただし、ほとんどが他人にとって無資格の行為にあたるため、トラブルになります。

例えばカードローンカードは、本人使用条件に金融機関から貸与されているものです。

他人が使用する目的で契約するのはもちろん、譲渡貸与禁止されています。これはアコムやアイフルのような消費者金融、ジャックスのような信販会社、銀行でも同じです。

けれども、こうした名義貸しの手口は巧妙になっており、最近では「カードローンの調査」と称してカードローンの契約を行わせて、借りたお金を騙し取るケースが増えています。

アルバイトにしては報酬が多く、借りたお金の返済はしなくてもいい(もちろん嘘)と言われるので、カードローンに詳しくない若者は安易に引き受けてしまうのです。

後で金融機関から督促が来て、初めて騙されたと気づきます。

各金融機関の取引規定や約款に書いてあるように、たとえ騙されたとしても本人の禁止行為が原因なので、一切補填はされず本人返済義務が生じます。

さらに罪を問われる可能性があるのです。例えば他人が利用することを知りながらカードローンを契約したのは「詐欺罪」、それでお金が返済されなければ「窃盗罪」です。

あくまでも金融機関から見ると、騙された本人こそが加害者なのです。

3.加害者に損害賠償を請求するには?

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こうした詐欺行為の加害者に対して損害賠償請求するには、刑事裁判とは別に民事裁判を起こさなければいけません。

その結果、判決で返還命令が下れば、財産差し押さえなどあらゆる手段を使って、騙し取られた分を取り返せるでしょう。

あるいは和解勧告を受けて、話し合いで解決を試みる場合もあります。

ただし、裁判を起こすには弁護士の手配など、多くの費用が発生します。それに見合うだけの判決が出る保証は無く、加害者の財力によっては全額を回収できない可能性もあります。

却って裁判を起こさない方が金銭面でも精神面でも負担が少ない場合もあるのです。

特に、カードローンの名義貸しで損害賠償を請求するのは、難しいと言われています。

加害者の正確な身元が分からず、アルバイトの契約書や、お金を渡した時の「借用書」など、詐欺行為を証明できるものが何も無いケースが多いからです。

結局は寝入して地道に返済するか、債務整理するしかないのです。

偽名や名義貸しでカードローンを申し込むのは絶対にダメ!判例ありまとめ

相談

このようにカードローンで偽名の使用や名義貸しを行うと、詐欺罪などに問われて懲役を科せられる可能性があります。

それとは別に金融機関から損害賠償請求をされる場合もあるのです。いずれにせよ、手元に残るのは借金だけです。

一時的にメリットがあってもわないことが分かるでしょう。

カードローンの申込には正確情報申告し、どんなに親しい間柄でも名義貸しは絶対に行わないこと。

特に名義貸しは被害に遭ったと気づいた時点で、法テラス法律事務所相談して被害の拡大を防ぎましょう。

<参考URL>

産経新聞
http://www.sankei.com/west/news/150709/wst1507090079-n1.html
http://www.sankei.com/west/news/150810/wst1508100070-n1.html

e-Gov(刑法)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M40/M40HO045.html

裁判所
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/540/033540_hanrei.pdf
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_minzi/minzi_01_01/index.html

アコム
http://www.acom.co.jp/attention/list/fraud01.html

アイフル
http://www.aiful.co.jp/topics/?cid=PFE0H010

ジャックス
http://faq.jaccs.co.jp/faq_detail.html?id=164

オリックス銀行
http://www.orixbank.co.jp/personal/rules/stipulation/cardloan.html

岡山県消費者生活センター
http://www.pref.okayama.jp/site/syohi/426384.html

法テラス
http://www.houterasu.or.jp/index.html