私たちが日々の生活を送るための費用は、収入の範囲内でやり繰りするのが原則です。けれども、元々の収入が少なかったり、冠婚葬祭や家電の故障などで思いがけない出費が発生するなど、生活費が足りなくなることは結構あるものです。
本来であれば、貯金を取り崩すなど万が一のための蓄えで賄うのが望ましいですが、お金を借りて急場をしのぐという方法もあります。どのような方法があるのか、カードローンを活用する事はできるのか、見ていきましょう。
もくじ
生活費が足りない場合はカードローンで借りることができる?
常に生活に困っているわけではなく、あくまでも一時的な生活費の不足であれば、生活福祉資金貸付制度を利用するほどではありません。返済できる見込みがあるなら、カードローンのように気軽に利用できる手段の方が良いでしょう。
一般的なカードローンは事業性で無ければ使い道は自由で、目的別ローンと違って出費の内訳を提出する必要もありません。その分、年利が高いのが難点ですが、一時的な生活費の不足を補う上で心強い味方と言えるでしょう。
基本的にプロミスやアコムなどの貸金業者であれば50万円以内、銀行であれば数百万円の融資まで収入証明書が不要で、本人に安定した収入があればカードローンを使うことができます。
主婦でも生活費をカードローンで借りる事は可能?
ただし専業主婦の場合、同じカードローンでもプロミスやアコムなどの貸金業者から借りることはできません。これは「貸金業法」の「総量規制」において「年収の3分の1を超える貸し付けはできない」と謳われているからです。逆に、パートやアルバイトなど安定した収入があれば、主婦でも利用できます。
もし、無職で無収入であれば、銀行のカードローンを利用することになります。「貸金業法」は貸金業者と、ジャックスやセディナのような信販業者に適用されるもので、銀行は対象外だからです。専業主婦なら、配偶者に安定した収入があればカードローンを利用できます。
その代わり借りられるのは、みずほ銀行や三菱東京UFJ銀行(バンクイック)のように30万円くらいまでのところが多く、最大金利を適用される場合がほとんどです。また、申込にあたっては審査があり、配偶者の在籍確認が行われることは心得ておいた方が良いでしょう。
貸金業者の中には例外として、専業主婦でも配偶者の同意を前提に、二人の年収を合算した額の3分の1まで借りられる「配偶者貸付制度」を行っているところもあります。ベルーナノーティスやエレガンスなど実施している貸金業者は限られますが、銀行のカードローンの審査に通らない場合の候補として検討しても良いかもしれません。
学生でも生活費をカードローンで借りる事は可能?
生活費だけでなく、合コンやギャンブルなどで学生もお金のやり繰りがうまく行かなくなることはあります。誰もお金を貸してくれない時の頼りになるのがカードローンと言えるでしょう。
もちろん専業主婦の場合と同じく、無収入では信販会社や貸金業者のカードローンを利用することはできません。また、20歳未満はアルバイトで安定した収入があっても利用できないことがほとんどです。
また、安定した収入があったとしてても、イオン銀行のように最初から「学生不可」と明記している金融機関もあります。たとえ借りられたとしても10万円程度で最大年利が適用されるものと考えた方が良いかもしれません。
逆に、無収入でも安易に貸してくれるのは間違いなく「ヤミ金」と呼ばれる非合法な業者です。法外な利息を要求されたり、厳しい取り立てを行ったり、クレジット枠の現金化を勧めるなど、いずれも貸金業法では罰則規定になることを行います。どんなにお金に困っても、ヤミ金には手を出さないように気をつけましょう。
どうしても自力で生活費の不足をカバー出来ない場合は、家族に相談したり学校の相談センターを利用するという方法があります。
区役所や市役所で生活費を借りる事はできる?
生活が苦しい時に、区役所や市役所のような公的機関を頼るとしたら、「生活保護制度」の利用を思い浮かべるでしょう。これは最低限の生活を保障するための費用を援助するものです。基本的に役所の福祉課などに設けられている「福祉事務所」で申請します。
ただし、生活保護を受けるための条件はハードルが高く、働いて収入を得ることがままならず、公的制度を活用してもなお生活できないくらいでないといけません。たとえ受けられたとしても、車は贅沢品と見なされて所有できないなど、さまざまな制約があります。
「生活福祉資金貸付制度」について
そこで、一時的に生活費が足りない世帯のための支援制度として「生活福祉資金貸付制度」があります。これは、慢性的な低所得者や収入が途絶えた失業者が生活を立て直せるように、無利息または低金利で資金の貸付を行うものです。窓口は厚生労働省の管轄にある「生活福祉協議会」となり、基本的に区役所や市役所などと別の建物になります。
「生活福祉資金貸付制度」は、「生活支援費」として単身なら月15万円まで、2人以上の世帯なら月20万円までを最長12ヶ月にわたって貸し付けてくれます。身元保証人がいれば無利息で借りられますが、いなくても年利1.5%という低金利で借りることができます。返済は最後の貸付から6か月経過後より最長10年以内に行います。
失業や債務整理による一時的な費用が必要な場合は、「一時生活再建費」として一度に60万円までを貸し付けてくれます。これで再就職に必要なスキルを身につけたり、債務整理の手続きに必要な費用に充てるのです。他にも子供の高校や大学の教育に必要な資金を貸し付けてくれる「教育支援資金」なども同様の無利息または低金利で貸し付けてくれます。
生活福祉資金貸付制度を利用する条件
貸付を受けるには、市民税が非課税であることが条件になります。その目安として、確定申告または年末調整時の所得金額が、自治体の定める金額以下である必要があります。例えば東京都の場合、単身世帯は35万円、2人以上の世帯は「35万円×(控除対象配偶者+扶養親族数+1)+21万円」です。
所得金額は、経費を引いた後の年収から「給与所得控除額」を引いたものです。「給与所得控除額」は最低でも65万円なので、単純に考えると東京都に住む単身者なら、年収100万円以下で市民税が非課税になり「生活福祉資金貸付制度」を利用できることになります。
この制度は当面の生活費を借りて返すだけでなく、その間は「自立相談支援事業」を利用することが義務付けられます。これは就労を支援したり、家計を健全化するなど、自律するための補助を生活福祉協議会の相談員から受けるものです。失業保険などの公的支援を受けられないが、生活保護を受けるまでもない、中間にあたる人が受けられるセーフティーネットと言えるでしょう。
まとめ
このように生活費が足りない時は、それが慢性的なものであるなら「生活福祉資金貸付制度」のような公的機関のサポートを受けたり、一時的なものであればカードローンを利用するなど、さまざまな手段があります。
けれども、どの手段にしても借りたお金はいずれ返済しなければいけません。無計画に借りると、その場はしのげても返済の時にまた困ることになるでしょう。それでは問題を先送りしたに過ぎません。
カードローンで生活費を補うにしても、生活福祉資金貸付制度で行っているように家計を見直したり、安定した収入を得られるように転職を検討するなど、生活費が不足する状況を改善することが大切です。
<参考URL>
厚生労働省(生活保護)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/QandA.pdf
厚生労働省(生活福祉資金貸付制度)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatsu-fukushi-shikin1/index.html
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatsu-fukushi-shikin1/kashitsukejoken.html
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059382.html
練馬区(住民税非課税)
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kurashi/zei/jyuminzei/hikazeikijun/juuminzei-hikazei.html
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kurashi/zei/jyuminzei/keisan/keisanrei-26-1.html
E-Gov(貸金業法)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S58/S58HO032.html
みずほ銀行
http://www.mizuhobank.co.jp/setsumeisho/pdf/card.pdf
三菱東京UFJ銀行(バンクイック)
http://www.bk.mufg.jp/kariru/card/banquic/pdf/banq_setsumei.pdf
レディースキャッシング エレガンス
http://www.docoele.com/HP/exception/index25.html
ベルーナノーティス
http://www.b-loan.jp/lady/index.html
イオン銀行
http://www.aeonbank.co.jp/loan/card_loan/product.html
神奈川県(ヤミ金)
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f646/p7877.html
日本大学
http://www.nihon-u.ac.jp/campuslife/student_support/counseling_center/about_counseling_center/