もくじ
カードローンの審査は退職前に済ませておく
<はじめに>
退職について相談すると、「その前にカードローンを契約しておいた方がいいよ」というアドバイスを受けることがあります。転職先が決まっているならともかく、そうでない場合は当面の生活に困る可能性があるからです。そんな時にお金を借りれたら心強いでしょう。
そして、何よりもカードローンの審査は退職前に済ませてしまった方が、圧倒的に有利なのです。その理由を探ると共に、退職後にカードローンを使用する時の注意点について見ていきましょう。
1.カードローンは退職前に申し込んで審査を済ませてしまおう
退職前にカードローンを申し込んだ方が良い一番の理由は、「審査に通りやすい」からです。一般的にカードローンに申し込むと本当にお金を貸しても大丈夫なのか、さまざまな観点から審査が行われます。それはアコムやプロミスのような貸金業者や、銀行のカードローンでも同じです。
審査項目はたくさんありますが、最近では収入証明書を提出しなくてもカードローンを契約できるほど、借り入れまでのハードルは低くなりました。けれども、一つだけ未だに重要視されている項目があります。それが「勤務先」です。
そもそも年収の確認によく提出される「源泉徴収票」は、あくまでも前年度の収入を証明するものです。金額次第では現在無職であっても借り入れができてしまいます。金融機関側としては、必ず返済してくれる保証として、安定した収入を得ているかを確認したいのです。そのため今でも「在籍確認」を行い、勤務先に電話をかけます。
退職後にカードローンを申し込むと、この在籍確認ができないので審査に通らなくなってしまいます。特に貸金業者は貸金業法の影響で、返済能力の無い人=安定した収入の無い人に貸すことができません。たとえ前年度に十分な年収があったとしてもです。
そう考えると、カードローンは在籍確認に通りやすい退職前に申し込んだ方が有利と言えるでしょう。年収によっては多めの限度額が設定される可能性もあります。
2.退職した事実を届け出ないと……
無事にカードローンの契約が完了し、その後に退職したとします。この時点でもお金は契約した時の限度額まで借りられます。けれども、貸金業者を利用する場合、無職の状態で借りることになります。これは問題にならないのでしょうか。
例えばプロミスの「約款」を見ると、届出事項変更についての項目があり、そこには「勤め先に変更があった場合には、14日以内に届け出ること」という記載があります。アコムの約款でも同様に「速やかに届け出ること」と書いてあります。
これを怠った場合、どちらも「期限の利益の喪失」という項目に、「期限の利益を失い、債務の全額を支払うこと」と書かれてあり、つまり「すぐに借りてるお金を全額返済しなさい」と要求されるのです。
貸金業法では返済能力の無い人にお金を貸すと、1年以下の懲役または300万円の罰金が科せられます。そういった前提でお金を貸しているので、特に「無職」なったことを届け出ないというのは大問題なのです。
一方、銀行のカードローンの約款を見ると、三井住友銀行にしてもオリックス銀行にしても、勤め先の変更について「速やかに届け出ること」という記載はありますが、住所や電話番号の変更を怠って連絡が取れなくなった場合を除いては、期限の利益の喪失についての記載は無いように見えます。
強いて言えば「虚偽の申告」に該当するかもしれません。確かに銀行は貸金業法の対象外なので無職でも配偶者や家族に収入があれば、貸付は原則的に可能です。ただし、多くの銀行のカードローンは保証会社も関わっています。銀行がOKでも保証会社がNGなら、期限の利益の喪失は十分に有り得るでしょう。貸金業者にしても銀行にしても、退職した事実は速やかに届け出るべきです。
どのカードローンも早ければ1年後には契約の更新があります。オリックス銀行のように、再契約の際に審査を行うと明記している金融機関もあります。退職の事実を隠し通すことはできないと考えた方が良いでしょう。
3.退職の事実を隠したがる理由
借り手が退職の事実を金融機関に隠したがるのは、それによってカードローンが使えなくなったり、全額の返済を求められることを恐れているからです。ただし、プロミスの約款を見ると「利用限度額」の項目で、減額や新たな借り入れの停止は言及されていますが、少なくとも速やかに全額の返済を求められることは無いようです。これは銀行も同じです。
逆に考えると、存分に借りた後で退職の事実を速やかに届け出たとしても、借り続けることはできるわけです。
ただし、どの金融機関も返済が一度でも滞れば、期限の利益の喪失が発生します。特に退職後は収入が不安定になりがちなので、計画的なお金のやり繰りが必要です。むしろアルバイトでも構わないので定職に就いていた方が、新たな借り入れができなくなることを避けられるかもしれないし、ある程度は返済の目処が立つでしょう。
カードローンは退職前に審査をしよう!まとめ
審査の点から考えると、退職前にカードローンの申込を済ませた方が有利と言えます。退職して在籍確認ができずにはじかれるよりは、ずっと簡単に契約できます。ただし、必ず返済してくれるという保証の下で借りている以上、退職した事実は速やかに届け出るのが当然であり、怠って全額の返済を求められても致し方ないことです。
確かに届け出ることによって限度額が下がったり、新たな借り入れができなくなる可能性はありますが、既に借りたお金は引き続き借り続けることができます。そう考えると、金利が低くて、限度額が多く、総量規制の影響を受けない銀行のカードローンの方が何かと使い勝手が良いと言えるでしょう。
<参考URL>
プロミス
http://cyber.promise.co.jp/APE00042.html
※第3条(利用限度額)、第24条(届出事項の変更)、第25条(期限の利益の喪失)
アコム
http://www.acom.co.jp/p/policy/ac.html?sid=2e8c599ced13b37c8dfd&p1=users&p3=2e8c599ced13b37c8dfd
※第11条(届出事項の変更)、第13条(期限の利益の喪失)
三井住友銀行
http://www.smbc.co.jp/kojin/loan/cardloan/pdf/kitei.pdf#search=’%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%B3+%E7%B4%84%E6%AC%BE’
※第5条第4項(限度額の変更)、第12条(期限の利益の喪失)、第22条(届出事項)
オリックス銀行
http://www.orixbank.co.jp/personal/rules/stipulation/cardloan.html
※第6条第2項(契約の更新)、第7条(限度額の変更)、第19条第2項(期限の利益の喪失)、第28条(届出事項の変更)
貸金業法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S58/S58HO032.html
※第2章第2節(第13条の2:過剰貸し付けの禁止)、第5章(第48条1の4:罰則規定)